2009年5月27日水曜日

健康増進法は政府肥大化法に過ぎない。喫煙者よ起て!

外務省のページによれば、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(Framework Convention on Tobacco Control)を日本は受諾しているとのこと。また、「健康増進法」なる法律が制定され、それは、次のように書いている。

第二十五条  学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用 する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない

の法律を実施するために派生的な法律や条令などが作られているようだが、これは明らかに非合理だ。その理由について、次に説明したい。

わが国が全体主義的な独裁国家や社会主義国家でないのであれば、上にある「官公庁施設」を除けば、「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所」と「飲食店その他の多数の者が利用する施設」のすべてが国営であるわけがない。例えば、劇場のオーナーが健康に対する煙草の影響を懸念して、劇場全部を禁煙にしたり、一部を禁煙にしたりすることがあっても不自然ではない。逆に、全館を喫煙を可能にして喫煙者のニーズに応えようとする劇場オーナーがいても、やはり不自然ではない。では、喫煙の習慣のない者はどうしたらよいのか。単純である。禁煙やいわゆる「分煙」を実行している劇場に行けばよいのだ。愛煙家が無理して禁煙の劇場に行く必要がないのと同じである。これは、個人の自由である。

いかなる理屈で、政府が、官庁や国営以外の施設の管理者に対して、「受動喫煙(中略)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない」などと命令する法律を作ることができるというのか。

「受動喫煙」を避けるために喫煙者のいない場所に移動する自由は誰もがもっているはずではないか。喫煙者が他人の手足を椅子に縛り付けて煙草のケムリを吹きかけているとでもいうのか。

この法律は、憲法第13条が保証する個人の幸福追求権を侵害しているといわざるをえない。

健康増進は個人の課題である。個人の喫煙や飲酒は、その健康への影響とそこから得られる楽しみとのトレードオフを判断した上で、その量や回数を各自がコントロールすればよいのである。その自己決定権を軽視する法律に合理性はない。

喫煙者が比例的に多かった時代には、非喫煙者の声は相対的に小さく、喫煙者の数が少なくなると、非喫煙者の声が大きくなる、ということはあるかもしれない。しかし、喫煙者が非喫煙者を監禁・拘束して煙草を吸わせていない以上、施設を禁煙とするか喫煙可能にするか、「分煙」にするかは、その施設の所有者の裁量の範囲でなければならない。その施設の管理者に、喫煙に関して、特定の何かを努力させるような権限を政府がどうやったら持ち得るのか。

そもそも、「受動喫煙」という言葉自体が、虚偽であり、それ自体が自己撞着なのである。受動的な喫煙などというものはありえない。喫煙者はすべて能動的に喫煙しているのだ。たとえば、隣の人が煙草のケムリをあなたに吹き付けたとする。あなたは煙草が大嫌いだとしよう。当然、そこであなたは不快を訴え、煙草を消してくれないかと要請するだろう。あるいは、その場を立ち去るかもしれない。つまり、隣人のケムリがあなたの同意なしにあなたが所有する自己の呼吸器官に吹き込まれたことについて、その当事者に抗議し、何らかの合意を成立させるか、その場を立ち去ることで解決するか。解決手段は与えられているのである。大人数の喫煙者のいるバーやホールのような場所で交渉が無理であれば、立ち去れば良いのだ。

つまり、「受動喫煙」というのは決して、喫煙ではない。単に、合意に基づかない煤煙の押しつけなのである。だから、そのことを不快に感じるのも当然であるし、その健康への影響を懸念することも理にかなったことだ。

しかし、それなら、なぜ能動的にその問題を解決する方策をとらないのか。なぜ政府に頼るのか。なぜ税金を使って、役人に馬鹿げた法律を作らせるのか。愚かとしかいいようがない。政府のナンセンスなお節介、個人の自己決定と自由に対する政府の介入を、自ら高い税金を払って増強しているのに等しい。政府権力の肥大化にただひたすら貢献するだけだ。自虐的というのは、こういうことをいうのだ。

個人の自律性と自己決定の重要性を忘れたら、政府に生涯にわたって収奪され、洗脳され、好きな煙草を吸うことも遠慮してしまうようになる。それでは奴隷ではないか。

徹底的にリバタリアニズムの理論を追求した、オーストリア学派の経済学者Murray Rothbardの決定的な言葉を引用したい。
Smokers, rise up, be proud, throw off the guilt imposed on you by your oppressors! Stand tall, and smoke! Defend your rights!

喫煙者達よ、起ち上がれ、誇りを持て、抑圧者によって植え付けられた罪の意識をかなぐり捨てよ! 背を伸ばして起って煙草を吸え! 君たちの権利を防衛せよ!

Murray Rothbard, America's Most Persecuted Minority
(マリー・ロスバード、『アメリカでもっとも迫害されている少数派

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